同人誌出版の問題

同人誌と聞けば、大抵の人は「人気コミックのコピー」・「コスプレの写真集」を思い浮かべると思います。

同人誌と一括りにされていても、実際には「文芸系同人誌」・「二次創作系同人誌」・「一次創作系同人誌」に分類されてます。
度々、著作権などで問題になっているのは、この中の「二次創作系同人誌」に分類されるものがほとんどです。

「二次創作系同人誌」とは、人気のある漫画・アニメ・ゲーム等のキャラクターを無断で使用して作られた冊子のことで、 ここで問題となるのは、オリジナルの作者や出版社に無許可で販売しているということです。

ただ、出版社や作者によっては同人誌出版について「見て見ぬふり」をしていることもあったりと、暗黙の了解といった「グレーゾーン」的な 事柄になっているのが、この件をなにかとややこしくしているのだと思います。

この著作権問題で有名なのが「ドラえもん最終話」ではないでしょうか。

「ドラえもん最終話」問題とは、故藤子・F・不二雄氏そっくりの絵柄で、 電池切れで動かなくなったドラえもんを、ロボット工学者となった大人ののび太が甦らせるという内容の感動的な最終話を、ある男性漫画家が同人誌即売会やインターネットで販売をしました。

作者である、故藤子・F・不二雄氏そっくりの絵柄と、もっともらしい感動的な最終話のストーリーがインターネットなどから評判となり、 当時1部500円の冊子が15,500部が出荷され、約13,000部を売り上げたが、絵柄が原作と酷似していたため「藤子・F・不二雄の真作」であると勘違いし、 小学館に問合わせが殺到するなどしたため、著作権者である小学館および藤子プロ側は、男性漫画家を著作権侵害で告訴をするに至った問題です。

これ以降、同人誌の著作権問題については度々議論されるようになりました。

フランスなどでは、パロディやオマージュを認める法律が存在するようですが、日本ではそれらを認めたり保護したりするような法律が無いのが現状です。

又、最近では、漫画などのコミックを中心とした、過度の性的描写に対する同人誌を、青少年の健全な育成を主張する立場などから、表現規制の強化する動きが年々強まってきており、 「児童ポルノ法の改正案」の導入を進めるなど、前述の著作権問題よりも深刻な問題となっています。