同人業界の現状

当初は同人誌を発表するような場所はほとんどなく、同じ趣味を持った仲間同士で作品の発表や売買をしているだけでした。 しかし、「第1回コミックマーケット」が1975年に虎ノ門日本消防会館会議室で開催されたことで状況が変わり始めました。

第1回に参加したサークル数は32、参加人数は推定700人となっており、その大部分が少女マンガファンの女子中・高生だったといいます。

以後毎年、年に数回開催されるようになり、2013年12月開催時では、「コミックマーケット85」とあるように、既に85回も開催されています。
第1回開催時に比べ、参加サークル数が35,000、参加者総数が52万人と膨れ上がり、企業ブースも出店するなど、一大イベントとなりました。

「コミックマーケット」は、「コミケ」の名前で認知されていますが、もともとは同人誌販売会は自分たちが作成した同人誌を持ち寄って売買するものでした。
現在では、「コミケ=同人誌販売会」と認識されているほど、同人誌販売会の代名詞的なものとなっています。
毎年8月と12月の年2回、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催されており、8月に開催されるものは「夏コミ」、12月に開催されるものは「冬コミ」と呼ばれています。

コミックマーケットは、年々回を重ねるごとに大規模化し、それに伴って一般にもその存在が広く知られるようになりました。イベントが一般に広まることで、同人の人口は年々増えて、現在では一大産業 にまで発展したが、それ故に問題も多数出てくることなりました。
「同人誌出版の問題」ページでも記載したとおり、作者の表現の自由による著作権問題や、性的表現、同人イベントの参加者のモラルなどです。

コミックマーケットが抱える問題の多くについては、コミックマーケット準備会が発行するカタログにその内容が記載されており、参加者への注意も毎回行われているようですが、問題が後を絶たないといった感じです。

同人人口が拡大することで、同人活動を商業目的で行う者たちも現れるようになりました。
もともと趣味で作成・販売していた同人誌が、同人誌人口の増加により人気作品は収益を上げられるほどになりました。

同人誌を専門に印刷する印刷会社の増加や、DTPの普及により安価に冊子を作製できるようになったことや、同人誌を専門に扱う書店の増加による流通市場の拡大などもその一因でしょう。